地域共創

武雄のやきものの魅力を探る― 本学教員4名による共同研究が進行中

武雄アジア大学では、2026年度共同研究「肥前やきもの圏における生産・文化・観光の空間構造:統合型有田と分散型産地の比較研究」に取り組んでいます。

本研究は、大木裕子教授を研究代表者とし、井手誠之輔教授、近藤政幸教授、丁仁京教授の4名が、それぞれの専門分野を生かして進める学際的な研究です。

佐賀県を中心とする肥前地域は、日本を代表する陶磁器の産地として、400年以上にわたり豊かなやきもの文化を育んできました。しかし、同じ肥前地域でも、産地によって生産の仕組みや作品の特徴は大きく異なります。

有田では、成形、絵付け、焼成などの工程を専門の職人が分担する生産体制が発展してきました。一方、武雄では、個々の窯元や作家が制作から販売までを幅広く担い、それぞれ独自の技法や表現を追求しています。

本研究では、こうした産地ごとの違いに着目し、経営学、美術史、観光学、国際比較の視点から、肥前のやきもの産業の特徴と新たな可能性を明らかにすることを目指しています。

武雄市内36窯元・工房へのヒアリングを実施

研究の第一段階として、武雄市内の36窯元・工房を対象にヒアリング調査を実施しました。各窯元を訪問し、制作技法や作品への思い、創業・継承の歴史、生産・販売の仕組み、地域との関わりなどについて詳しくお話を伺いました。

今回の調査では、武雄のやきものが持つ豊かな多様性が改めて浮かび上がりました。伝統的な登り窯や地域固有の技法を守り続ける窯元がある一方、独自の釉薬や造形を追求する作家、歴史や神話を題材に精緻な作品を生み出す工房もあります。また、陶芸体験や飲食店の運営を通じて、やきものと人々の暮らしを結びつける取り組みも見られました。作り手が自らの感性を作品に反映し、その魅力を購入者に直接伝えていることも、武雄の特徴の一つと考えられます。

やきものを通じた地域の魅力づくりへ

また、武雄の窯元が市内各地に点在していることにも注目しています。武雄の窯元は市内各地に点在していますが、里山の風景や地域の歴史に触れながら窯元を巡ることは、武雄ならではの観光の魅力につながる可能性があります。

今後は、調査成果を窯元紹介冊子や周遊マップなどに生かし、作家の制作理念や作品の魅力を広く発信していくことを目指します。また、有田、唐津、波佐見などとの比較研究を進め、産地ごとの特徴や文化的価値を明らかにしていく予定です。

武雄のやきものの魅力は、必ずしも一つの様式に集約されるものではありません。異なる歴史や技術、美意識を持つ作り手たちが、それぞれの個性を育んできたこと自体が、地域の大切な文化資源なのです。

本学では、今後も地域の方々との交流を大切にしながら、武雄のやきもの文化の魅力を明らかにし、その継承と新たな地域の魅力づくりにつなげていきたいと考えています。

【研究概要】

研究課題:肥前やきもの圏における生産・文化・観光の空間構造:統合型有田と分散型産地の比較研究

研究代表者:大木裕子 教授(経営学)

研究分担者:井手誠之輔 教授(美術史)、近藤政幸 教授(観光・地域ブランド)、丁仁京 教授(国際比較)