近藤 政幸Kondo Masayuki

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観光デザインセンター長、教授

専門分野

観光まちづくり、観光地経営、トラベルビジネスマネジメント

担当科目

観光マーケティング論、観光ビジネス論 ほか

経歴

日本観光研究学会 研究分科会発酵ツーリズム研究会代表 。愛知県出身、同志社大学、大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士課程修了、修士(都市政策)。大手旅行会社30年を経て公募により(公財)わかやま産業振興財団・観光プロジェクトマネジャー、新潟経営大学教授を歴任。持続可能な着地型観光組織の研究や地域資源の有効的抽出、編集、流通別最適商品開発、販路等発地戦略、運営、地域振興、地域還流までの価値連鎖の研究に取り組む。主な研究論文に「和食ガストロノミーと熊野古道の訪日旅客」(『第32回日本観光研究学会 全国大会 学術論文集』2017年)、「大地の芸術祭にみる中間組織とコミュニティの進化」(『第35回日本観光研究学会全国大会学術論文集』2020年)、「発酵ツーリズムにみる経験価値の考察」(第36回日本観光研究学会全国大会学術論文集)、2021年)「新常態化、地方都市の交流人口獲得のための市民意識の研究−観光まちづくり会議を事例としてー」(『第37回日本観光研究学会全国大会学術論文集』2022年)などがある。京都・大阪・高野山の伝統文化団体を海外日本展に数多く派遣。熊野古道・高野山の着地型観光プログラムを地域協働・研究開発。著書『着地型観光の経営的条件』(大阪公立大学出版会)、『これでわかる着地型観光』(学芸出版)、(一財)都市農山漁村活性化機構より「オーライ!ニッポン審査委員会長賞」受賞(2010年)、全国旅行業協会全国大会にて「着地型観光大賞特別賞」受賞(2014年)。

自分をひとことで言うと?

観光目的地を目的地として顧客を送りだせるように見つめると同時に受入れ地としての観光まちづくりの分析・研究をしてしまう人

 

インタビュー

――先生は、ずっと観光の仕事をされてきたんですか?

はい。振り返ってみると、人生のほとんどを“人が動く場”に関わってきたように思います。最初のキャリアは、大手旅行会社でした。そこから約30年間、海外旅行のアウトバウンド事業に携わってきました。

――30年ですか。かなり長いですね。

ええ。当時は、今ほどインターネットも発達していませんでしたから、海外旅行はまだ“特別な体験”という感覚が強かった時代です。私自身、旅行というのは単に「移動すること」ではなく、「価値観が変わる体験」だと思っています。知らない土地へ行き、初めての文化に触れ、食べたことのない料理を食べ、人と出会う。そうした経験を通して、人は少しずつ世界の見方を広げていく。だから私は、旅行という仕事にとても魅力を感じていました。

――具体的には、どのようなお仕事をされていたのですか?

主に海外旅行の企画や国際交流事業に携わっていました。特に京都や大阪を中心に、伝統産業や工芸に関する海外展示会、国際交流事業、法人イベント、MICE、インセンティブツアー、産業視察の企画などを担当していました。

――かなり幅広いですね。

そうですね。観光というと、“観光地を案内する仕事”というイメージを持たれることもありますが、実際にはもっと広い世界です。たとえば、日本の伝統工芸を海外へ紹介する展示会を企画するときには、「どうすれば海外の人に魅力が伝わるのか」を考えなければいけません。単に商品を並べるだけでは、人の心は動きません。その背景にある歴史、職人の思い、地域文化、暮らしの物語まで含めて伝える必要があります。私は、その“地域の物語をどう世界へ届けるか”ということに強い関心を持っていました。

――MICEやインセンティブツアーにも関わっておられたのですね。

はい。企業イベントや国際会議、報奨旅行なども多く担当しました。MICEというのは、Meeting、Incentive、Convention、Exhibition/Eventの頭文字を取った言葉ですが、これは単なる観光ではなく、“人と人”“企業と地域”をつなぐ場でもあります。たとえば、国際会議を一つ開催するだけでも、多くの人が地域を訪れます。宿泊、飲食、交通、文化体験など、地域全体に経済効果が生まれる。だから私は、観光を「地域産業」そのものだと考えています。

――その後、和歌山県でのお仕事に移られたのですね。

はい。ご縁があり、公募を経て公益財団法人わかやま産業振興財団、そして和歌山県観光マネージャーとして約10年間活動しました。

――民間企業から地域観光へ。かなり大きな転換ですね。

そうですね。ただ、自分の中では自然な流れでもありました。旅行会社時代を通して、「本当に魅力のある地域とは何だろう」と考えるようになっていたのです。有名な観光地だから人が来るとは限りません。逆に、小さな地域でも、人を惹きつける魅力を持っている場所はたくさんあります。問題は、その地域自身が“地域の宝”に気づいているかどうかです。

――“地域の宝”という言葉が印象的です。

私は、地域には必ず宝があると思っています。自然、食、文化、祭り、工芸、人のつながり――地域によって宝の形は違います。ただ、多くの場合、その価値は地域の中では“当たり前”になってしまっているんです。だからこそ、外からの視点も大切ですし、その魅力をどう磨き、どう発信するかが重要になります。和歌山では、観光地域づくりや商品開発、企画、インバウンド推進などを担当しました。地域の方々と一緒に、新しい観光商品を考えたり、海外向けプロモーションを行ったり、地域資源を活用した事業づくりに取り組んできました。

――地域の方々と一緒に進める仕事だったのですね。

はい。観光は、行政だけでも、企業だけでも成功しません。地域の住民、事業者、行政、大学、観光協会など、多くの人が連携しながら地域を作っていく必要があります。私はいつも、「観光は“交流”の産業だ」と考えています。人が来て終わりではありません。訪問から体験へ、体験から交流へ、交流から滞在へ、そして滞在から移住・定住へ、その流れをどう作っていくかが重要なのです。

――現在は大学で教えておられるのですね。

はい。新潟経営大学では7年間、教員として勤務しました。担当していたのは、観光地経営論、観光まちづくり論、地域創造論、観光ビジネス論、ニューツーリズム論、地域イベント&MICE、訪日観光人材育成論、経営学実地研究、観光実習などです。

――かなり実践的な科目が多いですね。

そうですね。私は、“現場で動ける人材”を育てたいと思っています。観光を学ぶというのは、単に理論を覚えることではありません。地域へ出て、人に会い、現場を見て、自分の頭で考えることが重要です。だから授業でも、できるだけ地域と関わる機会を作るようにしていました。

――学生には、どのような力を身につけてほしいですか?

私は、地域の宝を自ら探し、それを磨き、商材化・商品化・産業化できる人材を育てたいと思っています。これからの地域づくりでは、「誰かがやってくれる」のを待つのではなく、自分たちで地域の価値を発見し、形にしていく力が必要です。そして観光とは、単なる“集客”ではありません。その土地に人が来ることで、新しい交流が生まれ、地域への愛着が生まれ、場合によっては移住や定住につながっていく。私は、その流れをマネジメントできる人材がこれからますます重要になると思っています。

――現在は武雄アジア大学で活動されているのですね。

はい。武雄アジア大学では、地域とアジアをつなぐさまざまな活動に関わっていきたいと考えています。特に、佐賀県には大きな可能性があると思っています。

――どのような可能性でしょうか?

私は、佐賀県を“通過県”ではなく、“滞在と交流の県”にしたいと思っています。九州の中で見ると、どうしても福岡や長崎へ向かう途中として見られることもあります。しかし、佐賀には豊かな自然、温泉、食文化、焼き物、歴史、地域文化など、魅力的な資源が数多くあります。それをどうつなぎ、どう体験化し、どう世界へ発信するか。そこには大きな可能性があります。

――まさに“地域の宝探し”ですね。

そうですね(笑)。でも、本当に大事なのは、“探す”だけではなく、“磨く”ことなんです。地域資源は、ただ存在しているだけでは観光にはなりません。そこに物語を与え、人と人をつなぎ、体験として価値化する必要があります。私はこれまでの経験を活かしながら、学生や地域の方々と一緒に、佐賀の新しい魅力づくりに取り組んでいきたいと思っています。

――最後に、これからの目標を教えてください。

私は、観光を通じて地域の未来をつくりたいと思っています。人口減少や地域経済の課題が進む中で、観光は単なる“にぎわいづくり”ではなく、人や地域をつなぐ重要な力になるはずです。

そして、その中心にいるのは“人”です。地域を愛し、地域の価値を発見し、世界へ発信できる人材を育てていきたい。学生たちには、ぜひ自分の足で地域を歩き、自分の目で地域の魅力を見つけてほしいと思います。私はこれからも、地域と人をつなぐ“交流の場づくり”に関わりながら、「また来たい」「ここに住みたい」と思われる地域づくりに挑戦していきたいと思っています。

 

武雄の印象

里山ごとに異なる種類の“武雄のやきもの窯元”が集積するマチやムラ

 

趣味、特技、マイブーム

街道ウオーク、ビートルズ(歌詞)、発酵ツーリズム

 

好きな言葉や信条

小さくはじめて大きくなるコミュニティ

 

愛読書

M・E・ポーター(1999)『競争優位の戦略』

 

研究者情報

https://researchmap.jp/binnchotann